Monday, September 19, 2011

TEDボランティア翻訳者 アンワル・ダファラに聞く

TEDボランティア翻訳者 アンワル・ダファラに聞く TEDブログではこの後何週間かに渡って素晴らしいTEDボランティア翻訳者たちにスポットライトを当てていきます。オープン翻訳プロジェクトを豊かにしていく大仕事をしているのはどんな人たちなのかご覧いただきます。今日はアンワル・ダファラを取り上げます。

———自分のことについて聞かせてください。

私の正式な名前は、アンワル・ファティヘルラーマン・アーメッド・ダファラです。1978年1月23日にスーダンの町ポートスーダンで生まれ、初等教育をそこで受けました。2003年にアラブ科学技術海運大学校(AASTMT)のコンピュータ工学科を卒業しました。結婚して小さなスーダン人家族を築き、愛する妻サルマと愛らしい娘エガブルが、私の人生において最も大切な人たちです。 私は男5人、女4人の9人兄弟の長男です。 大学時代にWebデザイナ/開発者として仕事をし、卒業後は故郷の町の2つの大学で非常勤講師をしていました。それから2003年に首都ハルツームで小さな会社を興しました。私が韓国に行って清州市にある忠北大学校の修士課程に入る直前のことです。 2006年に修士課程を終え、韓国でも自分の会社を作り、同じ教室でフルタイムの博士課程学生となるまで続けました。来年2010年に望むらくは修了の予定です。私が研究領域としているのは、データベース、データマイニング、セキュリティ、ソーシャルネットワーク、インターネットアプリケーション、それにある種の数学です。

———TEDの何に惹かれたんですか?

私は何人かのスーダン人の友人と講演ビデオや、論文のコピーや、何であれ手に入るものを共有していますが、研究室の友人がとても刺激的な講演のリンクを送ってくれたんです。その後ニール・テュロックの「アフリカのアインシュタイン」の講演を見ました。最初に思ったのは、自分の国や自分の大陸にいる多くの人たちにどうやってこの講演を広めたらいいだろう、ということでした。私たちは様々な領域の新しいアイデアや発見を追いかけるのが好きなんです。それに私はいつも楽観的で、人類がもたらしうる最良のものはこれからやってくると思っています。 スーダン開発者協会(SudaDev)のようなスーダン国内のいくつかのNGO立ち上げに携わり、オープンソースとコラボレーションの力で世界をより良く変えられると信じるようになりました。そしてこれはまさに私がTEDの中に見出したものです。広める価値のあるアイデアはすべて、私自身のつまらない考えには関係なく、人と人の関わりや、人と機械の関わりの中の「隠れた可能性」を顕わにするのです。私はハンス・ロスリングの大ファンで、いつも自分に言い聞かせています。「自分のデータセットでみんなのマインドセットを変えてやろう」

———なぜ翻訳をしているんですか?

私は休むことを知らない人間で、いつも複数のタスクを並行してやっています(マルチタスキング)。教育は私にとって人生の使命であり、それを通して私の国であるスーダン、私の大陸であるアフリカ、そして世界全体を豊かにすることができます。 私は何億というアラビア語話者のために翻訳をしています(2億8千万人以上の人がアラビア語を母語としています)。私が翻訳をするのは、それが異なる文化、人々、宗教の間に相互的な敬意をもたらせる方法だからです。翻訳は人間として互いにアイデアを交換する方法なのです。 私はまた友人たちのために翻訳しています。彼らの人生の何かを変えてあげられるというのは素晴らしい贈り物だと思います。私は自分の娘、あなたの娘、みんなの子どもたち、来るべき世代のために翻訳しています。彼らがいつの日か、私の翻訳から少しでも恩恵を受けられたなら本望です。 翻訳プロジェクトへの参加は、私たちが互いにどれほど思いやりを持っているか示せる素晴らしい方法だと思います。アラビア語話者には異なる文化的宗教的背景を持つ人がたくさんいますから。 7千年の歴史を持ち、ピラミッドを作った最初の文明であるスーダンのような国にあって、私は国の平和と繁栄を促進するために翻訳をしています。友人であるエマニュエル・ジャルの活動を助けるためでもあります。彼はスーダンに対する人々の意識を変えるための素晴らしい一歩を踏み出しました。これにはスーダン人自身の意識も含みます。それは政治が示すのとは違い、私たち人間は1つの種族、1つの国だという平和と愛のメッセージです。翻訳を通じて、私はほんの少し世界を変えることができるのです。 現在私の国には衝突があります。多くの人がスーダンについてのシングルストーリーを信じています。隣人の国々からさえ、私たちは悪いステレオタイプで見られています。これは私たち自身の手で変える必要のあることであり、自分たちの問題を解決して国際社会に積極的に参加していく必要があります。私はスーダンでたくさんの才能ある人たちに出会いました。彼らはそのクリエイティビティを発揮する機会を得られないでいます。たとえば「数学マジック」をやってのけた12歳のマムーン。彼はあいにく病気を患っています。 私が翻訳しているのはまた、それによって新たな部族を作り、多くの素晴らしい人々に出会えるからです。私の好きな趣味の1つは、人々と知り合い、大義のために協力するということです。広めるに値する素晴らしいアイデアと慈悲に満ちた場所であるTEDを通して何らかの貢献をしているすべての人に、ありがとうと言いたいです。
(翻訳 青木靖 原文 Meet Anwar Dafa-Alla, TED volunteer translator)
Translated into Japanese By: Yasushi Aoki

Original Interview on TED Blog: http://blog.ted.com/2009/11/20/meet_anwar_dafa/

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